目指せPPK 抗加齢医学の話

先月末に診療をお休みさせていただき、日本抗加齢医学会総会に参加いたしました。

抗加齢=アンチエイジング ですね。

アンチエイジング関連の学会と聞くと、美容系の話なのかと思われるかもしれませんが、

実は全く違いまして。

内科・婦人科・泌尿器科・整形外科・耳鼻科・歯科などなど、臨床医学はもちろんのこと、

化学・物理学・農学・薬学などの他分野からも、様々な研究成果や、新しい情報などが発表されます。

抗加齢医学会ではいわゆる美容系の話は、敢えて「見た目のアンチエイジング」と区別されるくらい、美容系ではない話が大多数なのです。

今回もCOVID-19の話から、サルコペニアやフレイル、免疫や発がんに関することなど、

幅広く勉強をさせていただきました。

そこで感じたことはやはり、「アンチエイジングって外からだけじゃなくやっぱり中からが大事!」ということ。

そもそも、私が抗加齢医学会に入会して勉強しようと思ったきっかけは、

形成外科医としてレーザーやピーリングやHIFUや高周波やヒアルロン酸などの、様々な「外からの施術」のみを患者さんに対して行っていたときに、

「限界がある、根本的ではない。」と感じたから・・・。

半年くらい前のブログにもちょっとだけ書いたような記憶がありますが、

「予防に勝る治療無し」ということを、抗加齢医学を学ぶ中で実感しました。

                                               

皮膚は体の一部、一臓器ですから、皮膚のエイジングに抗うとするなら、体全体でエイジングに抗わなければなりません。

「暴飲暴食止められません、運動も面倒だからしたくない、ストレス溜まるからお酒もたばこも止められない、でも皮膚は若々しく保ちたい」

・・・なんて、そんな虫のいい話は無い、ということです。

食、運動、メンタルヘルス、環境・・・結局そこが基本になるのですね。

食に関しては、だいぶ前から「カロリーリストリクション(カロリー制限)」がアンチエイジングにつながることは報告されていますが、

カロリーだけ減らせばいいかというともちろんそんなことは無く、内容も大事です。

同じ内容の食事を満腹食べるか腹八分目にしておくかでしたら、腹八分目が良い、ということです。

ただし、女性の場合は元々食事量が少なかったり、ダイエットなどで栄養が不足していることも多いので、単純にカロリーを減らすだけではかえってサルコペニアにつながる可能性もありますから要注意です。

タンパク質・糖質・脂質のバランスの取れた食事、ミネラル・ビタミン・食物繊維をきちんと取りつつ、定期的な運動習慣で筋肉量をキープする。

(なぜ筋肉を維持しなければならいかという話はまた後日にいたしましょう。)

とにかくアンチエイジングとは結局日々の生活習慣なんですよね・・・。

                                                             

よくエイジングに対する施術のご説明をさせていただくと、

「繰り返しやらないとダメなんですか?」「1回で済むものはないんですか?」

とご質問を受けることがありますが、

もし1回受けただけで効果が永遠に続く施術があるとしたら、

それって「不老」ということですよね・・・。

残念ながら今の医学ではそこまでは至っておりません。

私たちが今できることは、なるべく老化の症状が現れないように、進行しないように気をつけながら日々の生活を送ること、

それでも現れてしまった老化の症状には医療の力を借りて対処していくこと。

そして何より大事なのは、加齢という現象を受け入れつつ、

毎日幸せを見つけながら暮らしていくことだと思います。

『Happy people live longer.』ですからね、メンタルヘルスも大切です。

                                                 

先日の抗加齢医学会では「PPK(ピンピンキラリ)をめざして」というタイトルのシンポジウムもありました。

よく耳にする「ピンピンコロリ」ではなく、「ピンピンキラリ」。

素敵ですよね。

私もぜひPPKを目指していきたいと思います。